著者
虫明 眞砂子 黒井 かおり
出版者
岡山大学大学院教育学研究科
雑誌
研究集録 (ISSN:18832423)
巻号頁・発行日
no.153, pp.59-69, 2013

合唱のウォームアップについて,合唱指導者の取り組みや合唱団の事例を通して,身体のリラックスの視点から考察した。野口体操や体ほぐしを取り入れた合唱指導者渡辺,岩崎,橋本ら3者は,身体の柔軟性が良好な発声を導くという考えに基づいていることを示しており,また,岩崎,橋本は,心理的柔軟性もその条件に付加していることが明らかになった。次に,合唱団の実践例から,全体的に,身体的な観点からは「呼吸」と「姿勢」を大切にした指導が行われ,上肢部分のストレッチに重点が置かれていることがわかった。他方,心理的観点からは仲間との触れ合いを取り入れて心をほぐすなどの工夫が見られた。さらに,呼吸と運動(動き)を同時に行う,合唱団員の年齢に応じた活動を取り入れるなどの工夫も見られ,これらの活動が,息が自然に声につながるための手立てとなる示唆を得た。