著者
黒崎 俊一
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.588-601, 1992-06-01
被引用文献数
15

総義歯調製において,作業模型は,床下組織に対する解剖学的および補綴学的考慮の払われた口腔粘膜面形態を表現する必要がある.本研究では,形態および被圧変位性が無歯顎者の上顎顎堤に近似した上顎無歯顎シミュレーションモデルを使用し,印象材,トレーの圧接速度および保持圧の変化が,作業模型の形態へ及ぼす影響を断面形状と変位量の変化で検討した.その結果,圧接速度の影響を受けず,保持圧を変化させることによってポストダム部の変位量を調節できるシリコーンラバー印象材が,上顎無歯顎作業模型の粘膜面形態を表現するのに有効な印象材であることが示唆された.