- 著者
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宮内 俊幸
黒木 和志
石川 徳久
高橋 誠
盛 秀彦
- 出版者
- 公益社団法人日本分析化学会
- 雑誌
- 分析化学 (ISSN:05251931)
- 巻号頁・発行日
- vol.56, no.1, pp.9-15, 2007-01-05
- 被引用文献数
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ブナおが屑(くず)をホスホン酸ジフェニルーホルムアルデヒド樹脂で化学修飾して発煙硫酸処理に耐えられる木質バイオマスー合成高分子複合体を合成して,これを基体とするスルホン酸基を有する強酸性陽イオン交換樹脂を得た.ブナおが屑を強化するのに必要なホスホン酸ジフェニル樹脂は原料の仕込み濃度で約14wt%以上あれば十分であり,原料仕込み濃度で約75wt%ブナおが屑を基体とするスルホン酸基を有する強酸性陽イオン交換樹脂を得ることができた.交換容量は2.4meqg^<-1>-R(乾燥樹脂)と良好な値であり,交換速度も速く約5分以内で平衡に達し,そのため高速でのイオン交換が可能であった.密度は1.18g mL^<-1>であり,水溶液中で浮くという欠点もなくカラム操作に十分に対応できるイオン交換樹脂であった.本交換樹脂は塩酸溶液あるいはメタノールー塩酸混合溶液を用いると,Li^+-K^+, Mg^<2+>-Ca^<2+>-Sr^<2+>-Ba^<2+>の相互分離,更にはCd^<2+>-Zn^<2+>, Cd^<2+>-Co^<2+>あるいはCd^<2+>-Ni^<2+>などの相互分離に利用できた.