著者
黒瀬 圭一 野田 航
出版者
一般社団法人 日本LD学会
雑誌
LD研究 (ISSN:13465716)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.46-57, 2022 (Released:2022-02-28)
参考文献数
15

本研究の目的は,小学校5年生学級において,学級規模ポジティブ行動支援を実施し,その効果を検証することであった。学級規模ポジティブ行動支援では,学級目標をもとに学級担任と児童が共同でポジティブ行動マトリクスを作成し,目標行動を決定した。その後,特に集中的に改善に取り組む目標行動として,学級担任が話し出したときにきりかえて話を聞く行動(きりかえ行動)と児童同士で教え合う行動を選定した。その後,これらの目標行動に対して行動支援計画表を作成し,介入を実施した。介入実施中にも,児童と取り組みの経過を確認しながら介入方法を修正していった。介入効果を検証するために,きりかえ行動の回数および教え合い行動をしたことを報告するカードの枚数を測定した。また,日本版SLAQ(大対ら,2013)も実施した。介入の結果,目標行動が増加し,学校肯定感も有意に向上したことが明らかとなった。