著者
齊藤 由倫
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.55-64, 2020 (Released:2020-09-24)
参考文献数
28

ごみ減量に関する意識高揚を目的に,市民アイデアコンテストが日本各地で行われている。本研究は,その応募作品から主要な応募者の意識を発掘できるかを実証分析するため,群馬県主催のコンテストを対象に応募作品のテキストマイニング分析を行った。応募者の 8 割超を占めた小学生の作品に焦点を絞って分析した結果,多くの小学生がもつ理解として,頻出名詞の「紙」「服」「ペットボトル」「皮 (食品廃棄として)」が指すごみへの問題意識が強いこと,ごみ種別ごとにリデュース,リユース,リサイクルのどれを推進すべきかの認識の強さが異なることが明らかとなった。一方,コンテストの一般的な審査による得点と抽出語の関係分析からは,言語的に他と類似しない一部の独創的な作品が高評価を得て入選しやすい特性が示された。したがって,応募者の多数意見を捉えることのできる本論の手法は,既存のコンテストに新たな付加価値を見出せることが期待された。