著者
齊藤,力
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, 2000-10-01

北原白秋は詩人・歌人で,童謡,歌曲,器楽曲,合唱曲,管弦楽曲などの作詞を多数行ったことで,あまりにも高名であるが,校歌,団歌,社歌,市町村歌,地力民謡・音頭,軍歌なども数多くつくっていたことは余り知られていない.これらの中に歯学,医学に関連する学校の校歌,および団歌などをいくつかみることができる。そこで,これらの歌に関して調査するとともに,その歌詞について若干の考察を行った.北原白秋作詞による歯学,医学関係の歌にみられる主な共通語句は「国手」,「醫」,「窮」,「済」,「仁」などであった.これらの歌詞は北原白秋の医学,医療に対する考え方,すなわち医の社会性,平等性,奉仕の精神の重要性,愛の心の必要性などを表現しているものと思われた.