著者
齋藤 和代 渡邉 幸恵
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.122-128, 2016 (Released:2016-03-26)
参考文献数
19

【目的】Down症児は早期からの療育が開始されることが多く, 運動発達促進やシャフリングベビーの減少が知られている. また, Down症児と自閉症スペクトラム (autism spectrum disorder ; ASD) の合併に関する報告も注目されている. そこで, 今回, Down症児の早期療育における問題点を調査する目的で, シャフリングベビーを含む粗大運動発達と精神発達について調査した. 【方法】対象は, 外来診察を行ったDown症児のうち, 1歳以上の男児79例女児42名の計121例で, 診療録による後方視的調査を行った. 【結果】シャフリングベビーは14例 (11.6%) であった. 粗大運動発達では, シャフリングベビー群で, 頚定, 四つ這い, 独歩が遅い傾向にあった. 精神発達の調査では, シャフリングベビー群で, ASD傾向が認められることが多かった. 【結論】早期介入にも関わらずシャフリングベビー群に移行する症例では, ASD傾向の合併に注意を払い, その特性に合わせた療育的介入が望ましい.