著者
入江 和夫 (田結庄 順子 猪野 郁子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.46, pp.8, 2003

<研究目的および概要><br> 本研究は小学4年生の衣食住等に関する生活技能の参加や意欲・関心,消費生活の実態や生活管理,家庭科の学習経験,問題解決能力等からなる調査票を用いた中国地区三県の児童・生徒への調査で得られたデータと全国データを比較し,地域の課題に対応したカリキュラム開発の基礎資料としたい。[二次分析]に当たり,日本家庭科教育学会「家庭生活についての全国調査」(科学研究費基盤研究(A)(1)課題番号13308005)の個票デー夕の提供を受けました。<br><研究方法>全国調査と同様の調査方法を用いた児童・生徒に対する自記式アンケート調査で,実施期間は9月1日から9月3日である。 本研究に用いたデー夕は全国データに反映した調査票(1264名)に加えた中国地区で協力が得られた学校の全ての調査表を再集計・再分析した。調査地点は大都市部,中小都市部,町村部の人口比より学校数を抽出し,小学校:9校,中学校:6校,高校校の計21校。配布数,有効回収数等は表1である。データ入力は,日本リサーチセンターに依頼した。集計・解析はSPSSを用いて,広島大学学校教育学部生の板口元気さん,窪田笑さん,上ノ原玲奈さんの3名には,言葉に尽くせない多大な協力をしていただいた。記して深謝申し上げる。第1~3報の集計・分析は,性別で考察を行った。<br><研究結果>中国地区三県の小学4年生の主な特徴は次である。<br>1、基本的な生活技能の実態と意欲・関心について<br>1)衣食住生活技能の実態と意欲・関心---食生活およびパソコンに関する仕事への参加度は、「いつも+ときどき」の割合は一様に低く、日常生活の中でほとんど実践されていない。衣生活に関する仕事の参加度は、「季節や気候にあった服装を自分で決める」の実践率が全体で60.1%と高く、その他「洗濯物をたたむ」が若干高かった以外は、食生活・パソコンに関する仕事と同様に低い実践率であった。全国の結果と比較すると、中国地区の小学4年生の仕事の参加度は低く、生活技能はあまり身についていない。<br>2)住生活・環境および対人関係---実践度は全体的に低い。「ゴミを決められた方法で捨てる」に関しては例外で,全国に比べてよく実践していたが,その他の環境に関する項目において全国を下回ったため,環境問題に積極的に取り組んでいるとはいいがたい。特に,対人関係3項目について,実践度の低さが目立った。<br>2.待間,金銭,消費生活についての自己管理 <br>1)時間についての自己管理---「朝の起き方」では,全体的に自己管理ができていたが,「いつも一人で起きる」は男子に多い。<br>2)生活についての自己管理---外出時の所持金については,「お金は持たなくてもいい」「わからない」と答えた児童が多い。<br> 3)コンビニヘ行く目的---「食べ物を買う」,「飲み物を買う」は60%前後で圧倒的に高い。全国と比較すると,コンビニの普及率及び利用率が低いせいか,回答の選択率が全体的に低かった。<br>3.幼児とのかかわり---子どもの遊び相手を頼まれた時「よろこんで遊んであげる」で男女で顕著な差があった。「あげたくない」「わからない」は男子が多い。全国との比較では,中国地区の男子の「幼児とのかかわり」に対する意欲が全国に比べて低いことが判明した。