著者
荒城 雅昭 Ahmad W.
出版者
日本線虫学会
雑誌
日本線虫学会誌 (ISSN:09196765)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.31-44, 2002-12

これまでに収集した本邦産Oriverutus属線虫標本について精査したところ、2新種および1本邦未記録種が含まれていることが判明したので、これらの記載、図示を行った。新種Oriverutus arcuicaudatusは、体長0.61~0.65㎜で、唇乳頭が突出して口唇部が顕著に区別されること、歯針は細く長さが15~16μmあること、雌性生殖腺は両卵巣型で、陰門環(pars refringens vaginae)は骨化しないこと、直腸嚢(Post-rectal sac)は小さいこと、尾部が腹側に曲ること、雄では、前腹部補助器(ventromedian supplement)が1個であることなどで特徴付けられる。新種O. parvusは、体長0.65~0.71mmで、唇乳頭が発達して口唇部が見分けられること、歯針は細く長さが13~14μmあること、雌性生殖腺は両卵巣型で、陰門環(pars refringens vaginae)が骨化すること、直腸嚢(Post-recta1 sac)は小さいこと、尾部が円錐形でわずかながら背側に反ることなどで特徴付けられる。雌性生殖腺が後卵巣型のO. occidentalis Pena Santiago & Peralta、1995もわが国で初めて見出されたので記載を行った。
著者
荒城 雅昭 Ahmad W.
出版者
日本線虫学会
雑誌
日本線虫学会誌 (ISSN:09196765)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.23-40, 2003-06

本邦各地で採集した土壌試料から、Qudsianemaidae科に属する未記載の線虫4種および2種の本邦未記録種が検出されたので記載を行った。新種Eudorylaimus inermediusは、体長が0.76-0.84mm、口唇部が胴部からはっきりと区別され、双器が大きく、歯針長10-11μm、陰門は体の中央からやや後より体を横断するように開口し、陰門環(pars refringens vaginae)は強く骨化すること、尾部が腹側に曲ること、雄では、前腹部補助器(venromedian supplemen)が3-4個である。新種E. niaesiは、体長が1.85-2.36mmで細長い体を持ち、口唇部が胴部からわずかに区別され、双器は小さくあぶみ型、歯針は長さ19-20μmで、食道腺背側の核が著しく大きく、陰門の開口は横断型で、膣は球形、陰門環はよく骨化すること、前後の生殖巣の発達がともに悪く小型であること、尾部が円錐状で腹側に曲ることが特徴である。新種E.kyooensisは、体長が1.90-1.96mmと細長い線虫で、唇乳頭が突出して口唇部が胴部から顕著に区別され、双器は大型、歯針は長さ22.5-23.5μm、陰門は横断型で開口し、陰門環は小型で、前後の生殖巣は発達がよく、円錐状の尾部は腹側にカーブする。新種Paraxonchium japonicumは、体長が0.66-0.80mmの線虫としてはずんぐりした体形で、口唇部は丸く顕著で、双器は大きく、非対称な歯針は長さ20-21μmで、先端の開口は短い。食道腸間弁には大きな3つの腺細胞が付着し、陰門は体の中央から後よりに体を横断するように開口、陰門環は強く骨化し、卵巣は両卵巣型、尾部は短く円錐状、ほとんど曲らない。Ecumenicus monohysera とMylodiscus nanusもわが国で初めて見出されたので計測値を報告した。