著者
Alaaeldin Soliman
出版者
東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻
雑誌
言語情報科学 (ISSN:13478931)
巻号頁・発行日
no.7, pp.1-14, 2009

本論では、標準アラビア語の二重主語構文(Double Subject Construction)を考察し、その特性を述べる。標準アラビア語の二重主語構文は、ゼロ繋辞文の一種であり、その主-述関係は限定関係により成立する。二重主語構文は二重主格表現になっており、一致関係では、第二主語の接尾形所有代名詞は、第一主語の性・数に一致する。また、述語は、第一主語ではなく、第二主語の性・数に一致する。さらに、第一主語と第二主語との統語的関係では、第二主語に接尾形所有代名詞が存在しているため、第一主語と第二主語の語順と意味関係は[全体-部分]、あるいは[所有者-所有物]と定められている。