著者
守山 英二 BECK Hiroichi MIYAMOTO Toshihiko
出版者
日本脳神経外科学会
雑誌
Neurologia medico-chirurgica = 神経外科 (ISSN:04708105)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.350-357, 1999-05-15
被引用文献数
2 20

過去20年間にVL thalamotomyで治療したParkinson病(PD)患者53名の治療成績を分析した。―側手術例44例では、振戦、筋強剛に対する効果は良好で、平均8.8年の追跡期間中効果が持続していた。無動に対しては効果は乏しく、その進行がADL低下の主因であった。両側手術例9例でも同様の傾向で、無動の顕著でない例は長期間良好なADLが維持されていた。重大な合併症は、凝固部位の脳内血腫1例、軽度なものは、一過性麻庫4例、一過性意識障害2例、けいれん発作2例であった。振戦、筋強剛がADL低下の主な原因となっているPD患者はthalamotomyの良い適応であり、他の治療法と組み合わせることによりPD患者の治療予後改善に役立つと考えられた。