著者
今泉 俊雄 SOHMA Tsutomu HOTTA Haruhiko TETO Ichiro IMAIZUMI Hitoshi KANEKO Mitsuo
出版者
日本脳神経外科学会
雑誌
Neurologia medico-chirurgica = 神経外科 (ISSN:04708105)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.385-391, 1995-06-15
参考文献数
10
被引用文献数
4 28

Traumatic AOD 11例(交通外傷9例)の来院時所見は, 呼吸停止全例, 心停止9例であった. 合併外傷は, 椎骨動脈損傷による上位頸椎周囲の血腫9例, 環軸椎脱臼4例, 環椎骨折3例, 延髄-頸髄移行部からのくも膜下出血9例, 頭蓋骨々折4例, 下顎骨折3例及びその他の顔面外傷10例, 重症胸部外傷8例, 腹腔内出血2例で, 致死的外傷が多かった. 顔面, 頭部, 胸腹部へ外力が頸部過屈曲伸展を起こし, 頭蓋頸椎移行部への引き抜き力となりAODが発生したと考えられた. AOD発生と同移行部により近い部位の損傷との関連が考えられた. 重篤な外傷であっても出血量は少なく, 低血圧, 心停止による影響と思われた. 最終的予後は10例が死亡, 1例が植物状態であった.
著者
北上 明 KIRIKAE Michihiro KURODA Kiyoshi OGAWA Akira
出版者
日本脳神経外科学会
雑誌
Neurologia medico-chirurgica = 神経外科 (ISSN:04708105)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.150-152, 1999-02-15
参考文献数
7
被引用文献数
3 26

症例は4歳男児、左眼窩内側にバターナイフを刺し搬送された。ナイフは上眼窩裂を通り錐体骨を貫通し後頭蓋窩に達していた。直ちに脳血管撮影を行い血管損傷のないことを確かめ、pterional, subtemporai, lateral suboccipital approacheを同時に行えるように広く開頭し、ナイフを直視下におきながら抜去した。術後頭蓋内感染はなく左失明、全外眼筋麻痺を残したが、他の神経症状はなく退院した。頭部穿通損傷において血管損傷は致死的であるため早期の脳血管撮影が必要と思われた。
著者
守山 英二 BECK Hiroichi MIYAMOTO Toshihiko
出版者
日本脳神経外科学会
雑誌
Neurologia medico-chirurgica = 神経外科 (ISSN:04708105)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.350-357, 1999-05-15
被引用文献数
2 20

過去20年間にVL thalamotomyで治療したParkinson病(PD)患者53名の治療成績を分析した。―側手術例44例では、振戦、筋強剛に対する効果は良好で、平均8.8年の追跡期間中効果が持続していた。無動に対しては効果は乏しく、その進行がADL低下の主因であった。両側手術例9例でも同様の傾向で、無動の顕著でない例は長期間良好なADLが維持されていた。重大な合併症は、凝固部位の脳内血腫1例、軽度なものは、一過性麻庫4例、一過性意識障害2例、けいれん発作2例であった。振戦、筋強剛がADL低下の主な原因となっているPD患者はthalamotomyの良い適応であり、他の治療法と組み合わせることによりPD患者の治療予後改善に役立つと考えられた。