著者
BURTON C. K.
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.65, pp.27-46, 1967-04-10
被引用文献数
1

近年北西マライから多数の筆石とtentaculitesが発見されている。筆石の大部分はLlandovery期のもので一部Wenlock型がある。Tentaculitesは明らかに中下部デボン系のものである。時代が異るにもかかわらず両者は密接に伴っていて, 16産地では同一層理面上に伴って産出している。集められた事実を照合し再検した結果判ったことは, このようなシルル紀筆石とデボン紀tentaculitesの共存という異常な産状は, 北西マライからタイ西部, ビルマ東部をへて雲南西部に続く地向斜地帯ではごく普通にみることができる。このようなフォーナの混合は, 一時的な隔離と, その結果として浮游生物が堆積地帯から消失し, 続いて外的連繋が復旧した時に造山的擾乱が起った結果であると考えられる。この古生代中期の地向斜は, 雲南から北東に中国にのび, それから恐らくはヨーロッパと連絡があったことを示すいくつかの証拠がある。この雲南-マライ地向斜はまた, ヒマラヤ地域とも時々連っていた。南方では, Kalimantan(インドドネシアのボルネオ)からニューギニアのIrian Baratをへて東オーストラリアにのびていた可能性がある。時代の異るシルル紀筆石とデボン紀tentaculitesとが相伴って産出することは, Victoriaでも知られている。