著者
Brugada症候群自動診断ワーキンググループ
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.758-767, 2006-09-25 (Released:2010-09-09)
参考文献数
14
被引用文献数
3 3

【背景】Brugada症候群においては, 心電図診断が最も重要である.この点, 心電図自動診断によるスクリーニングは本疾患の早期発見につながり, 致死的心室性不整脈による心事故発生の予防にも有用と考えられる.さらに, 本邦において, 欧米の心電図診断基準では本疾患が見逃される例も報告されている, 【方法】Brugada症候群の心電図診断において, V1~V3誘導におけるST-T偏位をA型: Coved型ST上昇 (J点≧0.2mV) , B型: Saddleback型ST上昇 (J点≧0.2mV) , C型: Coved型軽度ST上昇 (0.2mV>J点≧0.1mV) の3型に分類した.各型の心電図自動診断において必要な指標を, Brugada症候群の心電図を対象として, 右脚ブロック型心電図との識別から検討した.さらに, 各型において求められた指標を用いた自動診断基準により, Brugada症候群49例, 心電図548件および成人検診36, 674例, 小児・学童検診155, 999例を対象にして検証を加えた.【結果】 (1) A型ではBrugada症候群と右脚プロツクの識別において, J点≧0.2mVに加え, R'-R'40≦0.4mVおよびR'>R'40>R'80の基準項目を用い鑑別可能であった. (2) B型ではJ点≧0.2mVに加え, J点>ST最下点 (終末部) およびT波>ST最下点 (終末部) を用い検出可能であった. (3) C型では0.2mV>J点≧0.1mVに加え, A型のR'基準およびR'-R'40≧0.04mV, R'40-R'80≧0.04mVを追加項目とすることにより, 成人および小児におけるBrugada症候群と右脚ブロック心電図の鑑別が可能であった, (4) 以上の3型の自動診断基準を用いることにより, Brugada症候群心電図の診断率は高くなり, 成人および学童の検診例においてもBrugada症候群心電図の検出率に良好な結果が得られた, 【結語】Brugada症候群における心電図自動診断の基準は3型に分類でき, 検診にも有用であることが示された, 本邦における心電図自動診断に本基準を導入することにより, Brugada症候群の早期発見および予後判定につながると考えられた.