著者
Cakir Murat Murat Cakir
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
研究論集 = Journal of Inquiry and Research (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.105, pp.143-154, 2017-03

本稿は、トルコ近代公教育の確立に尽力したムスタファ・ネジャーティの功績の一端について明らかにすることを目的としている。トルコの近代公教育制度の成立において彼は世俗主義という理念とアタテュルクが示した民主主義、人民主義等という6 つの理念を基礎にトルコ公教育が発展するよう多大な努力をした。例えば、トルコの近代公教育の発展のために国家教育省、教育委員会、学校組織の間で調和的な連携・協働体制を整えた。本人が教育実践者であった経験から特に教職の重要性をいち早く理解し、教師教育を再編すると共に教職に対する社会的地位の向上に取り組んだ。オスマントルコ語を廃止し、新しくローマ字を基本とする文字改革を行い、一般庶民の誰もが教育を受けることが可能となった。また、西欧から専門家を招いて職業教育と美術教育にも力を入れた。彼はデューイの教育思想に影響を受け、デューイが報告した提案を実施し、諸改革を成功に導いた。