著者
Kudo Shinichi Nomura Yoshiko Segawa Masaya Fujita Naoyuki Nakao Mitsuyoshi Sara Hammer Carolyn Schanen Terai Itaru Tamura Masahide
出版者
北海道立衛生研究所
雑誌
北海道立衛生研究所報 = Report of the Hokkaido Institute of Public Health (ISSN:04410793)
巻号頁・発行日
no.52, pp.103, 2002-11-29

MeCP2の遺伝子変異は、Rett症候群以外の疾患の患者でも見つかり、X染色体性の精神発達遅滞を伴う男性患者においても報告された。これらの患者ではMBD内の変異として137番目のGluからGlyと140番目AlaからValのアミノ酸変異が確認された。これらの変異に関して、開発した二つの機能解析系を用いて解析を行ったところ、140番目の変異では、メチル化DNAに対しての転写抑制活性は完全に維持されており、137番目の変異ではわずかに転写抑制活性の低下がみられる程度であった。また、マウス細胞のヘテロクロマチン親和性についても140番と137番目の変異は共に明らかな点状の像を示し、親和性は維持されていた。これらの遺伝性の精神発達遅滞を伴う男性患者でのMeCP2の変異は、その機能への影響がレット症候群の場合と比較して軽度であるため、Rett症候群とは異なる病態を呈する成因となっている可能性が示唆された。