著者
本多 千明 Chiaki HONDA
雑誌
教育学研究論集 (ISSN:21877432)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.21-27, 2014-03-14

社会科の目標は,「公民的資質の育成」であるとされている。「小学校学習指導要領解説 社会編」2008(平成20)年8月では,この「公民的資質」について,「日本人としての自覚をもって国際社会で主体的に生きるとともに,持続可能な社会の実現を目指すなど,よりよい社会の形成に参画する資質や能力の基礎をも含むものであると考えられる。」と説明している。社会科教育では,公共の精神に基づいて主体的に社会の形成に参画し,「よりよい社会の形成に参画する資質や能力」をどのように育成するのが良いのだろうか。 そこで,本研究では,地域社会の課題解決を目指した社会的活動に生徒を積極的に関与させ,生徒の市民性を発達させる ことをねらいとした教育方法である,アメリカで誕生したサービス・ラーニング(Service Learning)」に注目する。アメリカでは,1990(平成23)年に「国家及びコミュニティ・サービス法(National and Community Service Act)」が成立して以来,幼稚園・小学校・中学校・高校・大学で数多くのサービス・ラーニングの実践が行われている。「よりよい社会の形成に参画する資質や能力」を育成する方策を考えるために,市民性育成に関する取り組みや,日本におけるサービス・ラーニングの適用可能性と期待される効果について検討する。