著者
北口 勝也 Katsuya Kitaguchi
出版者
武庫川女子大学大学院文学研究科教育学専攻『教育学研究論集』編集委員会
雑誌
教育学研究論集 (ISSN:21877432)
巻号頁・発行日
no.10, pp.1-8, 2015-03

The present research investigated the relations among praise behaviors, understanding of the applied behavior analysis (ABA), and years of experiences. The participants were 68 teachers who are working as a teacher in charge of a normal class in public elementary schools. The results showed that the more the teachers had knowledge of ABA, the more they provided praise to their students. Experience teachers showed less knowledge of ABA and praise behaviors relative to new young teachers. These results suggest that it is important to provide more effective methods to spread ABA knowledge for teachers.
著者
北口 勝也 Katsuya Kitaguchi
雑誌
教育学研究論集 (ISSN:21877432)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1-8, 2015-03-06

The present research investigated the relations among praise behaviors, understanding of the applied behavior analysis (ABA), and years of experiences. The participants were 68 teachers who are working as a teacher in charge of a normal class in public elementary schools. The results showed that the more the teachers had knowledge of ABA, the more they provided praise to their students. Experience teachers showed less knowledge of ABA and praise behaviors relative to new young teachers. These results suggest that it is important to provide more effective methods to spread ABA knowledge for teachers.
著者
西山 裕子 Hiroko NISHIYAMA
雑誌
教育学研究論集 (ISSN:21877432)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.80-87, 2020-03-20

英語教育において2020 年度から新たな取り組みが始まる。この現状にあって,英語表現力を高めることは教える側と学ぶ側にとって早急に策を講じるべき課題のひとつである。これまで英語力を測定する際に大きな比重を占めていた「読む」「聞く」という2技能に加えて,「話す」「書く」技能がより重視されていく今後の4技能統合型の英語学修において,一つひとつを分離させた指導方法では,社会で求められるレベルのスキル修得への対応が困難であるため,いっそう領域統合型の授業運営が求められるようになるからである。では,4技能のうち特に「読む」と「話す」技能について,これからの英語教育で外国語コミュニケーションにむけた英語表現力を向上させるために,どのように対応することが望ましいのであろうか。結論からいえば,新中学校学習指導要領を念頭に置くとき,多読と精読の双方は,個別の学修活動として捉えられるべきではない。この二つの技法は,アウトプット型の言語活動を補完し合いながら,小学校の外国語活動と,外国語科を経て,中学校の外国語科(英語)を接続し,コミュニケーション・スキルの基盤を確立する可能性を多分に含意している。
著者
大津 尚志 Takashi OTSU
巻号頁・発行日
vol.15, pp.36-44, 2020-03-20

文部省(現、文部科学省)が1988 年4 月から「校則の見直し」を指示している。その方向性は本稿執筆時(2019 年)まで変わりない。近年「校則」に関する議論が再び高まっている。「黒染め」という新たな問題も生じて、訴訟も提起されている。本稿では「校則」の歴史について判例史を含めてふりかえる。さらに1988 年におこなわれた「校則」の実態調査に比して、本稿執筆時(2019 年)の調査を行い、その調査結果報告を約30 年の間の比較視点を交えながら記述するものである。「校則の見直し」はある程度すすんでいること、「校則」の改訂にあたっては「生徒の意見を聴取する」方向には依然としてすすんでいないことなどが、新たな知見としてうかびがった。
著者
本多 千明 Chiaki HONDA
雑誌
教育学研究論集 (ISSN:21877432)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.21-27, 2014-03-14

社会科の目標は,「公民的資質の育成」であるとされている。「小学校学習指導要領解説 社会編」2008(平成20)年8月では,この「公民的資質」について,「日本人としての自覚をもって国際社会で主体的に生きるとともに,持続可能な社会の実現を目指すなど,よりよい社会の形成に参画する資質や能力の基礎をも含むものであると考えられる。」と説明している。社会科教育では,公共の精神に基づいて主体的に社会の形成に参画し,「よりよい社会の形成に参画する資質や能力」をどのように育成するのが良いのだろうか。 そこで,本研究では,地域社会の課題解決を目指した社会的活動に生徒を積極的に関与させ,生徒の市民性を発達させる ことをねらいとした教育方法である,アメリカで誕生したサービス・ラーニング(Service Learning)」に注目する。アメリカでは,1990(平成23)年に「国家及びコミュニティ・サービス法(National and Community Service Act)」が成立して以来,幼稚園・小学校・中学校・高校・大学で数多くのサービス・ラーニングの実践が行われている。「よりよい社会の形成に参画する資質や能力」を育成する方策を考えるために,市民性育成に関する取り組みや,日本におけるサービス・ラーニングの適用可能性と期待される効果について検討する。
著者
鶴 宏史 中谷 奈津子 関川 芳孝 Hirofumi TSURU Natsuko NAKATANI Yoshitaka SEKIKAWA
雑誌
教育学研究論集 (ISSN:21877432)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.1-8, 2016-03-20

本研究の目的は,保育ソーシャルワーク(以下、保育SW)に関する研究のレビューを通して,保育所における保護者支 援の課題を明確にすることである。保育SW に関する35 本の文献を,保育SW の機能,保育所内での組織的対応の有無,保育SW の対応課題に生活課題までを含むか,保育SW の基礎となる援助理論,の4 つの枠組みで分析した。その結果,保育SW の主な機能は相談援助機能と連携機能である点,組織的対応の重要性が指摘されていたが具体性には乏しい点,子育て以外の生活課題への言及はあったが具体的内容は不明であった点,基礎となる援助理論としてジェネラリスト・アプローチとエコロジカル・アプローチの重要性が指摘された点が明らかになった。今後の保護者支援の課題として,面接技術及びアセスメント技術の習得,連携の具体的方法の明確化,保育所内の組織的対応の具体化,継続的な現任者への研修体制の確立が挙げられた。
著者
山口 豊 Yutaka YAMAGUCHI
出版者
武庫川女子大学大学院文学研究科教育学専攻『教育学研究論集』編集委員会
雑誌
教育学研究論集 (ISSN:21877432)
巻号頁・発行日
no.14, pp.34-40, 2019-03

今では当たり前になっている書き言葉の口語文ではあるが、文語から口語へと移り変わる時代に岩手県で教育を受け、『春と修羅』を出版した宮澤賢治はどのような文法体系を身に付けていたのかということを『春と修羅』に用いられた語彙や表現を中心に考察・確認を行った。そこには口語の要素がいろいろと散見され、文法も口語文法が用いられていた。一方方言による表記もあり、賢治が意図的に方言での効果を狙って用いており、明治以来、標準語教育を進めてきた成果は大正末期・昭和初期の岩手県においてもしっかりと定着していたことが確認できた。
著者
宮崎 剛 Takeshi Miyazaki
出版者
武庫川女子大学
雑誌
教育学研究論集 (ISSN:21877432)
巻号頁・発行日
no.6, pp.39-51, 2011-03

子どもたちの学ぶ意欲が低下し,学びへの動機づけが弱体化している今日,学びの面白さを伝える教師の力量をいかに充実させるか,ということがますます重要になってきている。算数・数学教育という領域でこの問題を捉え返すとき,次のような数学的経験を積むことの必要性が浮き彫りになる。それは,扱っている題材が仮に子どもを対象とした単純なものであったとしても,それをより高い立場から掘り下げ,再構成し,その多面性や他の様々な題材との関連などを実感する経験である。本研究ノートは,分数の大小比較および負数の乗法という初等教育レベルの題材を取り上げ,それらをいかに数学的に拡げ,深めることがなし得るかを示し,上記の目的に資する一つの試みである。
著者
大津 尚志 Takashi OTSU
出版者
武庫川女子大学大学院文学研究科教育学専攻『教育学研究論集』編集委員会
雑誌
教育学研究論集 (ISSN:21877432)
巻号頁・発行日
no.15, pp.36-44, 2020-03

文部省(現、文部科学省)が1988 年4 月から「校則の見直し」を指示している。その方向性は本稿執筆時(2019 年)まで変わりない。近年「校則」に関する議論が再び高まっている。「黒染め」という新たな問題も生じて、訴訟も提起されている。本稿では「校則」の歴史について判例史を含めてふりかえる。さらに1988 年におこなわれた「校則」の実態調査に比して、本稿執筆時(2019 年)の調査を行い、その調査結果報告を約30 年の間の比較視点を交えながら記述するものである。「校則の見直し」はある程度すすんでいること、「校則」の改訂にあたっては「生徒の意見を聴取する」方向には依然としてすすんでいないことなどが、新たな知見としてうかびがった。
著者
久米 裕紀子 Yukiko KUME
出版者
武庫川女子大学大学院文学研究科教育学専攻『教育学研究論集』編集委員会
雑誌
教育学研究論集 (ISSN:21877432)
巻号頁・発行日
no.15, pp.1-8, 2020-03

幼児教育で日常的によく使われる言葉「遊びこむ」は,幼稚園や保育園の現場で活きて働いている言葉である。「遊びこむ」という慣用語は,幼児教育の世界で幼児と関わる大人が幼児について用いる独特の「言葉」(「専門用語」)として浸透してきている。「遊びこむ」について,保育現場でのインタビューを通し,幼児教育の中で活きてきた専門用語として立証していく。また,保育者が子どもの「遊びこむ」姿をどのように捉え,見極めているのかなど,保育者の「遊びこむ」姿を捉える視点について検討し,子どもへの援助について保育者同士が共有していく必要性を明らかにする。
著者
高井 弘弥 Hiromi Takai
出版者
武庫川女子大学
雑誌
教育学研究論集 (ISSN:21877432)
巻号頁・発行日
no.5, pp.27-32, 2010-03

Moral psychology has changed since Haidt (2001) proposed Social Intuitionist Model. In this study, using "trolley problems" (Petrinovich et al., 1993), the relation of intuitive system and reasoning system is investigated. At first, the subjects answered the questions including moral dilemma following their intuitions. But when they had time to considering the questions, their answers were such that using reasoning system. From these results, both two lines of judging moral dilemma, one following intuitions, the other using reasoning, are important in moral judgment.
著者
高井 弘弥 寺井 朋子 Hiromi Takai Tomoko Terai
出版者
武庫川女子大学大学院文学研究科教育学専攻『教育学研究論集』編集委員会
雑誌
教育学研究論集 (ISSN:21877432)
巻号頁・発行日
no.14, pp.17-25, 2019-03

Since Haidt's paper on moral judgment was published in 2001, studies of the development of morality have changed focus from Kohlbergian perspective to Haidt's moral intuition theory. The 'Trolley problem' is a symbolic moral dilemma, which reveals that moral judgments are mainly made on the basis of moral intuition, not on rational, cognitive thought. In this study, we made a moral dilemma of this kind, the moral intuition vs. utilitarian judgment, using everyday occurrences. And as a dependent variable, we used a slightly morally wrongdoing. We studied how the three independent variables, the moral intuition, empathy and the moral identity, affect this dependent variable. The results are as follows:1) If you can imagine victims of the wrongdoings easily, then empathy is a more effective inhibitor.2) If you can't, then the moral intuition is more effective.3) Moral identity plays important role in both wrongdoings.
著者
島﨑 美奈 Mina Shimasaki
雑誌
教育学研究論集 (ISSN:21877432)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.63-73, 2009-03-31

本研究の目的は, 修身教育で使用されていた例話を繙いていくことで,例話の特徴および、例話を使用した意図を明らかにすることである。学校現場で実施されていた修身教育の詳細な姿を知るために,淡路島にあった瑞井尋常小学校の課程日誌『表第二四号ノ壱 第一年生課程日誌 瑞井尋常小学校』と『表第二四号ノ弐 第二年生課程日誌 瑞井尋常小学校』の二冊の史料を使用することとした。その史料に基づき,瑞井尋常小学校第一学年と第二学年の修身教育のなかで使用された例話について考察した。
著者
藤澤 あゆみ Ayumi Fujisawa
雑誌
教育学研究論集 (ISSN:21877432)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.81-91, 2009-03-31

子どもたちの健康に冠する諸問題の中で,運動不足や食の偏りが原因となっている問題には,近年注目が集まっている。例えば,中央教育審議会の答申や,小学校と中学校の学習指導要領では,主に体力低下や肥満傾向について記載されている。また,食育も重視されている。しかし一方で,運動過多による健康被害が起こっている事実も存在する。それは,子どもの成長発達段階を考慮しない運動のやり過ぎや,体調管理意識不足が原因となっている。そもそも,健康の概念とは,時代や個人によって異なるものである。健康観の変遷は人間の欲求回想の移行が影響しているとされており,最終的に人間は「自己実現」の手段としての健康を手に入れようとする。よって,競技スポーツに取り組む子どもたちにとって,「理想的価値」や「自己肯定感」を感じる「自己実現」の手段であるスポーツが逆に,人間の下位の欲求をなおざりにしてしまうという現実が存在するのである。本研究の調査では,実際,競技スポーツに取り組む子どもたちの中に,体調の優れない子どもや競技中に病院へ搬送された子どもが存在した。今後は,公共性のある教育分野において,自己実現の手段としての運動を極端にやり過ぎたという,運動過多による健康問題を含め,本当の意味での自己実現や,子どもたち自身の体調管理意識についての問題に着目し,研究するといった対応が課題となる。子どもたちが,自己実現の本来の意味を問い直すことで,目標などの将来に向かった到達地点や理念を目指すような理想的価値と,自分の存在価値を見出せるような自己肯定感を生み出し,健康のあり方を見つめ直すことができるような教育を目指す必要があるのではないだろうか。