著者
菊田 千春 Chiharu Kikuta
出版者
同志社大学人文学会
雑誌
同志社大学英語英文学研究 = Doshisha studies in English (ISSN:02861291)
巻号頁・発行日
no.102, pp.109-139, 2021-03

本稿は日本語の逆接仮定条件を表す命令文(譲歩命令文)のうち、中世の終わりまでに成立したとされる、動詞「する」を用いるタイプの成立過程を構文文法の視点から分析する。構文化におけるチャンク化の意義を踏まえ、「する」の命令形が「もせよ」というチャンクを形成する条件や過程を詳細に検討し、「する」を3つに分類した上で、「もせよ」成立に重要な役割を果たしたのは、名詞や漢語と結びついて動詞を作る補助用法の「する」であると論じる。そしてその成立時期を説明する間接的証拠として、「する」の造語力を高めた中世の漢語の増大との関連を指摘する。
著者
菊田 千春 Chiharu Kikuta
出版者
同志社大学人文学会
雑誌
同志社大学英語英文学研究 = Doshisha studies in English (ISSN:02861291)
巻号頁・発行日
no.101, pp.83-126, 2020-03

本稿は日本語の順接・逆接仮定条件を表わす命令文を取り上げ、それを意味変化の方向性仮説の反例とする先行研究への反論を試みると共に、通時的構文文法による分析を提案する。特に、「命令から条件」への変化だけでは本質を捉えられず、「命令文と後続文の間に推意として存在した条件という論理関係のコード化」と考えるべきこと、そして、意味に加え、形式の慣習化を考慮することにより、構文化過程を明らかにできると論じる。龍城正明先生 秋篠憲一先生 中井悟先生 斉藤延喜先生 御退職記念号論文(Article)