著者
笠原 和美 DaSalla Charles 本田 学 花川 隆
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Annual57, no.Abstract, pp.S279_1, 2019 (Released:2019-12-27)

ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)は、読み取った脳活動から機械を動かすことで、病気や怪我により失われた機能を代替する技術として注目されている。しかし、BMIの操作能力には個人差があり、上手く使いこなせないケースも多い。本研究は、運動想像に伴うμ波脱同期を用いた脳波BMIの操作能力を計測し、脳構造・機能との関係を明らかにした。健常者30名を対象とし、自身の手のタッピング動作を想像するように指示した。μ波脱同期の強度をオンラインで計算し、カーソルの制御信号として利用した。カーソルの操作能力を変数として、大脳皮質密度との相関を脳構造MRIにより調べた。さらに、脳機能MRIと脳波BMIの同時計測を用い、操作能力の差がある被験者間の脳機能連絡の違いを調べた。その結果、高い操作能力を有する被験者ほど運動想像に関係する補足運動野の皮質体積が大きく、運動野-基底核の運動ネットワークを利用していた。一方、操作能力の低い被験者は、背側前頭前野や前部帯状回など認知的なネットワークを利用していた。本研究で得られた知見を基に、高い操作性を有するBMIの開発が可能と考えられる。