著者
Daniela Raddi
出版者
東京大学フィレンツェ教育研究センター
雑誌
Cultura Italo-Giapponese : Annali del Centro Studi e Ricerche dell'Università di Tokyo in Firenze
巻号頁・発行日
vol.1, pp.187-225, 2004-06

とかく欧米に伝わる日本映画のイメージは単一的かつ不完全であるが、映画の一時代が決して一人の作家によって代表されることはない。本稿では対照的な二人の映画監督を中心に1960年代の日本映画を再考する。日本ヌーベルバーグの旗手としてしばしば言及される大島渚はイデオロギー的立場からマスの視点の実現と解体に努める一方、どのような流れにも与しない今村昌平はあくまでも個に焦点を定めフィクションとドキュメンタリーの狭間に身をおいた。