著者
加藤 仲幸 藤原 淳 本田 俊夫 種市 洋 Nakayuki Kato Atsushi Fujiwara Toshio Honda Hiroshi Taneichi 獨協医科大学整形外科学 獨協医科大学整形外科学 獨協医科大学整形外科学 獨協医科大学整形外科学 Dept. of Orthop. Dokkyo Medical University School of Medicine Dept. of Orthop. Dokkyo Medical University School of Medicine Dept. of Orthop. Dokkyo Medical University School of Medicine Dept. of Orthop. Dokkyo Medical University School of Medicine
雑誌
Dokkyo journal of medical sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.85-93, 2007-07-01

【目的】腰椎可動性の評価は腰痛性疾患の診断や治療効果判定に際し重要である.簡単な取り付け器具で体幹に装着し, X線撮影なしに腰椎可動域を評価できる簡易腰椎可動域測定器を開発し,測定データの正確性および信頼性を評価したので報告する.【方法】簡易腰椎可動域測定器は,金属製の固定板,その中央に垂直に取り付けられた計測バー,固定板を体幹に確実に固定するゴムバンドより構成されている.第12胸椎と仙骨上の体幹背面に装着した測定器による可動域と実際の腰椎可動域をX線およびCTを用いて計測し,正確性,測定者間および測定者内の一致度および再現性を検討した.【結果】前後屈および回旋可動域に関しては測定値とX線計測値はよく相関し,かつ,その平均値に有意差はないことから正確性は良好であった.一方,前後屈の各体位における測定値とX線計測値には有意差があること,各回旋位の計測値の相関関係にはばらつきが多かったことから,本測定器は腰椎の肢位をX線と同様に捉えていなかった.また,側屈可動域に関しては,測定値とX線計測値の相関は前後屈や回旋より劣り,かつ,その計測値にも有意差が見られたことから,側屈可動域に関する本測定器の正確性は不十分であった.さらに,測定者間および測定者内一致度はすべての項目で高く再現性も認められた.【結論】前後屈および回旋可動域は簡易腰椎可動域測定器により低コストで簡便に測定でき,その正確性や信頼性も優れていた.