著者
Frank Osborn Wood 増沢 力
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.327-332, 1981 (Released:2013-02-19)
参考文献数
5

米国の東部, 中央部, 北中央部は雨が多く, 天日塩田操業はこは適さないが, 採掘や溶液採鉱に適した地表近くに十分な岩塩層および塩ドームが存在している. 溶液採鉱により生産したかん水は蒸発して固型塩とする. 米国の西部ば乾燥している気候で, かん水源はカリフォルニア太平洋岸, ユタ州のグレート・ソルト・レイクおよびカリフォルニア, ネバダ, ニューメキシコ各州の塩湖沼 (プラヤplaya) である. プラヤでは, 塩は乾燥地の表面から溶解してその後蒸発して天日塩となる.岩塩床は地下60mから1,500mの深さに存在する. その厚さは0.6-600mを超える. 塩は古代海洋から7000万-5億年前に析出したものである, 岩塩床は黒色の水平層を含んでおり, これが1年の析出量を表わすものと考えられている.近代的な岩塩坑の採掘方法は世界中ほぼ一様で, 竪坑を岩塩層まで掘り下げ塩を地表まで引き上げる. 塩は石炭とほぼ同様なroom-and-pillar方式で採掘する. 空所と掘抜部は, ほぼ12-21mの広さで同じ幅かやや小さい柱を残す. 塩ドームの場合では, 空間と柱は平均幅30mでよい. 塩は粉砕と選別のあと13mmから非常な微粉までの製品とする.真空式蒸発法では, 飽和かん水は在来の多重効用蒸発缶に供給される. これらの蒸発缶は, 通常下部が円錐型, 上部が逆円錐型となった垂直のシリンダーのタンクである. 下部円錐体のすぐ上に蒸気コイルがあり, 蒸発用蒸気が送られ撹拌機でかん水を定常状態に撹拌する. 蒸発缶は経済性からふつう3または4重効用である.蒸発中にかん水から塩結晶が析出し, スラリーとして取り出され回転フィルターへ送られる. 真空式蒸発法で得られる塩結晶は粒状塩として知られ, その型が立方体粒子である特徴をもつ. その大きさがほぼ0.15-1mmであるグレーナー塩は米国ではほとんど廃止されている.それは幅約5m, 長さ37-45m, 深さ0.5mの長方形のタンクで製造された. これらのタンクは飽和かん水で満たされ,“フレーク” 型の塩を生産した. アルバーガー塩はフレーク塩とせんごう塩の混合した形態をしている.近代的な天日塩田は, 通常九つの大きい濃縮池と, 一つの濃縮池の面積とほぼ等しいいくつかの連続した結晶池とからなっている. 濃縮池および結晶池間の堤防は, 通常池の底から1mの高さで監視用の車が通れる十分な幅がある.