著者
藤澤 佳澄 Fujisawa Kasumi フジサワ カスミ
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科教育学系
雑誌
大阪大学教育学年報 (ISSN:13419595)
巻号頁・発行日
no.9, pp.107-118, 2004

論文深層心理学の分野では、昨今、女性の「霊性」について語られる機会が増えている。女性の「霊性」を表すモチーフとして例えば「女神」が考えられるが、中でもとりわけ「大女神」、「地母神」などと呼ばれる女神たちへの言及が目立つ。これらの女神たちは、人類が文明化される中で見失ってきた根源的な霊性を備える存在として、現在その価値を見直されている。.本論文ではこのような「地母神」の臨床心理学的意義を再確認する一方で、「地母神」ではない女神たちの臨床心理学意義について検討してみた。その女神とは「処女神」である。「地母神」と「処女神」を対比させながら考察した結果、新たな洞察が得られた。「地母神」が「死と再生」プロセスを司る存在であるとしたら、「処女神」が司るのは「状態の魔力」とも呼ぶべき、「異界に繋ぐ」働きである。「地母神」に関する研究は多くなされているが、「処女神」に関する研究はまだ手付かずのまま残されているように思われる。本論文をその第一歩にしたいと思う。