- 著者
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福居 亜耶
フクイ アヤ
Fukuii Aya
- 出版者
- 大阪大学大学院文学研究科社会言語学研究室
- 雑誌
- 阪大社会言語学研究ノート
- 巻号頁・発行日
- vol.12, pp.51-70, 2014-03
本稿では、筆者の内省と自然談話での使用例をもとに京都府福知山市方言における命令表現について記述を行い、以下のことを指摘した。 (a) 命令表現として主に、命令形命令、連用形命令、テ形命令、ナル系命令(ナイナ形命令、ナン形命令、ナ形命令)が用いられる。 (b) 《命令》の発話機能においては、命令形命令、連用形命令、ナイナ形容令、ナ形命令が用いられる。命令形命令、ナイナ形命令は緊急性が高い場合、または、〈違反矯正〉やく非難〉の場面で用いられる。連用形命令とナ形命令はやややさしいニュアンスとなる。 (c) 《依頼》の発話機能においては、もっぱらテ形命令が用いられる。 (d) 《聞き手利益命令》の発話機能においては、命令形命令、連用形命令、ナ形命令が用いられる。命令形命令と連用形命令は単にその行為の実行を要求しているが、ナ形命令が用いられる場面は〈確認的指示〉のニュアンスが強い。 (e) 《勧め》の発話機能においては、連用形命令、ナイナ形命令、ナン形命令が用いられる。ナイナ形命令は特に《勧め》が断られることが考えにくい場面で用いられる。また、連用形命令とナン形命令が用いられる場面を比べると、連用形命令の方が《勧め》のうちでは緊急性が高い。