著者
権田 恭子 GONDA Kyoko
出版者
新潟産業大学経済学部
雑誌
新潟産業大学経済学部紀要 = Bulletin of Niigata Sangyo University Faculty of Economics (ISSN:13411551)
巻号頁・発行日
no.51, pp.27-53, 2018-07

本稿では、大学地域コラボ商品の販売イベントである「大学は美味しい!!」フェアへの出展を契機に、学内の個別の地域連携活動が横のつながりを持ち、大学全体の特色づくりとして位置づけられるようになった、新潟産業大学の実践事例を紹介し、今日、喫緊の課題である、大学におけるアクティブラーニング推進のために求められる、学内連携体制の構築という視点を提示したい。「大学は美味しい!!」フェアとは、全国各地の大学による"大学発"のうまいものを紹介、販売する新宿高島屋の人気催である。本学ではこのイベントに2013年開催の第6回から2017年開催の第10回まで、5年連続参加した。イベント全体としてはもともと農学部や家政学部の出店が多い中で、本学は経済学部として、地元産の農産物や銘菓等の地域に関わりのある商品に注目し、地域の企業と協力した商品開発によって、地域のPRや活性化を目指した。本学では複数のゼミナールが開発した商品を持ち寄り、その他に主に販売を担当するゼミナールを設け、学内横断的に分担、協力することで、このイベントへの参加が学内のさまざまな地域連携活動の成果発表の場として位置づけられ、大学の代表的な地域連携活動として認識されるまでになった。この実践事例から指摘できる点として、大学における地域連携、フィールドワーク型のアクティブラーニングの推進を促すためには、複数ゼミナールの参画、協働体制を教員間で自発的に構築することが有効であること、そのためには地域連携活動を正課の教育活動に位置づけるという新たな価値が大学全体として共有されることが重要である。既存の価値観や組織文化に留まらない、新たな組織の目的に向かって、組織全体と個人が共鳴しながら進化を遂げていく「進化型(ティール)組織」への転換が求められる。