著者
片瀬 雅彦 柴田 忠裕 Gaspard Jerome T. 水久保 隆之
出版者
日本線虫学会
雑誌
Nematological research (ISSN:09196765)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.45-47, 2009-06

千葉県の植木産地では、伝統的な樹芸技術によって多数の造形樹が生産されている。近年、EU諸国における日本庭園ブームや中国における造形樹の需要拡大により、植木の輸出量は拡大傾向にある。ところが、出国時の植物検疫において植木の土壌から規制の対象となる植物寄生性線虫が検出されると、その植木を輸出することができない。さらに、輸出相手国の植物検疫において規制の対象となる植物寄生性線虫が検出されると検疫措置を課せられ、植木の廃棄または返送処分を被る場合もあることから、輸出上の大きな障害になっている。日本の樹木類に寄生する土壌線虫に関して、これまで林業苗畑、森林樹木、花木類を対象とした調査報告があり、庭木樹種ではイヌマキ、イヌツゲにおいて線虫検出記録があるものの、造形樹となる植木を対象とした組織的な調査は行われていない。そこで、植木に寄生する土壌線虫の種類を明らかにするために、千葉県下の植木生産圃場において線虫調査を行った。