著者
高岡 宏行 HADI UPIK KESUMAWATI
出版者
Japanese Society of Tropical Medicine
雑誌
Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene (ISSN:03042146)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.357-370, 1991
被引用文献数
2 4

1990年12月から1991年1月にかけて, ジャワ島において吸血性昆虫ブユの採集調査を行い, 得られた標本を検討した結果, 数種の新種が含まれていることが分かった。本論文では, ブユ属アシマダラブユ亜属に属する2新種の記載を行った。1種は, <I>tuberosum</I>グループに属し, 蛹の呼吸管基部近くの外皮に小孔を有し, 呼吸管糸が6本とも極めて短いなど, 他の近似種に見られない特徴を有する。本グループに属するブユ種は, これまでにインドネシアからは報告がなく, 本種が初めての記録である。他の1種は, これまで<I>Simulium iridescens</I>の変種とされていたブユであるが, 蛹の呼吸管糸が袋状に大きくなっているなど, 幾つかの形態的な違いがあることから, <I>S.iridescens</I>から独立させ, 新種名を与えて記載を行った。