著者
久保田 文 Han John J.
出版者
文化学園大学・文化学園大学短期大学部
雑誌
文化学園大学・文化学園大学短期大学部紀要 (ISSN:24325848)
巻号頁・発行日
no.52, pp.76-81, 2021-03-31

日本文学における私小説的創作の草分けとも言われる小林一茶の『父の終焉日記』は、愛情深く父を看取った一茶の人生観や世界観を深く知り得る内容となっている。幸薄い少年期の混沌を経た彼は、往々にして諧謔的であることによって滑稽味に救いを求めた。しかし、本日記における一茶は、父のために祈り続け、仏教や儒教の指南の中に秩序を渇求していた。