著者
Handa Akihiro
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-23-00099, (Released:2023-12-08)

卵白タンパク質は, 加熱により構造が部分的に壊れ, 非共有結合および共有結合を介して凝集しネットワークを形成してゲル化する. 卵白加熱ゲルの物性は, 卵白を使用した食品の食感に大きな影響を与えるので, その制御技術やメカニズムが広く研究されてきた. 卵白の加熱ゲル化には, 従来から知られている疎水的相互作用やジスルフィド結合のほかにランチオニン結合やリジノアラニン結合が深く関与していること, さらには乾燥卵白の乾熱処理による卵白タンパク質の可溶性凝集体の形成にもそれらの共有結合が関与していることが近年明らかになった. 卵白の加熱ゲル化性を制御するには, 卵白タンパク質の可溶性凝集体形成を制御することがキーファクターと考えられ, メイラード反応や電気化学反応など様々な方法による凝集体形成とそのゲル化性の研究が行われている.