著者
Hari SUNDARAM
出版者
国立情報学研究所
雑誌
Progress in informatics : PI (ISSN:13498614)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.3-7, 2014-03

本論文では,持続可能性や公衆衛生などの社会的ジレンマにおいて協力関係を生み出すためにコンピューティングが果たす役割について論じる.このような協力関係のジレンマは異質集団の中に広範囲に存在する.本論文では,経験的な実地調査による協力の分析から洞察を得て,社会的信号を分析し,行動を検証するスマートフォンセンサーを利用した統合的コンピューティングの枠組みによって協力へと向かう個々の意思決定を形成できることを示す.ここでは,相互に関連した4つの技術的課題とソリューション例について述べる.これらの課題は,小規模の同質集団を構築するためのコミュニティ発見アルゴリズム,資源制約型ネットワークにおける個人の説得力,実環境での活動監視,大規模な社会的協調の発見である.さらに,小児肥満症対策,サイバーセキュリティ,公共の安全の向上など,コンピューターインフラストラクチャから生じる新しい協力のためのアプリケーションについて簡潔に述べる.