著者
横江 美那子 中尾 教伸 比江島 欣愼 Yokoe Minako Nakao Michinobu Hiezima Yoshimitsu
出版者
秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻
雑誌
秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻紀要 (ISSN:18840167)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.25-36, 2022-03-31

背景:超高齢社会を迎えた日本における持続可能な介護の実現に向けて,介護従事者の仕事への満足度ややりがいの 確保と介護サービスの品質向上はどちらも取り組むべき課題と考えられる.目的:介護施設における職員の職場環境に対する認識と入居者の心身状態との関連性を明らかにする.方法:特定入居者生活介護の指定を受ける有料老人ホーム277施設を対象に縦断研究を行った.職員の職場環境に対する調査結果と雇用形態や資格等の職員情報,入居者の介護度等の心身状態と転倒事故・褥瘡の発生報告状況につい て,施設別に集計されたデータを取得し,職員情報と入居者の状態変化の関係について単回帰分析またはロジスティッ ク回帰分析を行った.結果:介護職の職場環境に対する認識が良いほど褥瘡発生報告がされやすく(回帰係数1.42,p =0.0102),看護職の 職場環境に対する認識が良いほど状態変化を伴う転倒事故報告率(回帰係数-0.03,p =0.0318)が低かった.職場 環境に関する調査結果と入居者の心身状態変化との関連は認められなかった.結論:職員の職場環境に対する認識は,入居者の褥瘡や転倒事故の発生報告状況と関連していた.