著者
甲村 弘子 コウムラ ヒロコ Hiroko KOUMURA
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.1, pp.223, 2011-01-31

月経前症候群(PMS)は月経周期の黄体期、すなわち月経前に起こる様々な身体的、精神的症状をあらわす疾患であり、軽度のものを含めると多くの女性が経験する。PMSは疾患として名前が広く知られているにもかかわらず、その原因はまだ明らかにされておらず、確立された判定基準はない。本症の頻度に関しては、諸外国では報告がなされているが本邦ではほとんど認めない。若い女性での報告もみられない。本研究では、日本における女子大学生のPMSとPMDD の頻度を、"The Premenstrual Symptoms Screening Tool (PSST)"を用いて明らかにしようとした。対象は18歳から22歳の554名である。身体症状は約80%にみられ、中等症から重症のPMS群は20.4%、PMDD群は4.0%であった。この頻度は諸外国の報告とほぼ一致する。少なからず存在する本疾患に対して適切な対応が行われ、女性の生活の質(QOL)の向上に貢献することが期待される。