- 著者
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西山 裕子
Hiroko NISHIYAMA
- 雑誌
- 教育学研究論集 (ISSN:21877432)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, pp.80-87, 2020-03-20
英語教育において2020 年度から新たな取り組みが始まる。この現状にあって,英語表現力を高めることは教える側と学ぶ側にとって早急に策を講じるべき課題のひとつである。これまで英語力を測定する際に大きな比重を占めていた「読む」「聞く」という2技能に加えて,「話す」「書く」技能がより重視されていく今後の4技能統合型の英語学修において,一つひとつを分離させた指導方法では,社会で求められるレベルのスキル修得への対応が困難であるため,いっそう領域統合型の授業運営が求められるようになるからである。では,4技能のうち特に「読む」と「話す」技能について,これからの英語教育で外国語コミュニケーションにむけた英語表現力を向上させるために,どのように対応することが望ましいのであろうか。結論からいえば,新中学校学習指導要領を念頭に置くとき,多読と精読の双方は,個別の学修活動として捉えられるべきではない。この二つの技法は,アウトプット型の言語活動を補完し合いながら,小学校の外国語活動と,外国語科を経て,中学校の外国語科(英語)を接続し,コミュニケーション・スキルの基盤を確立する可能性を多分に含意している。