著者
古閑 博美 コガ ヒロミ Hiromi Koga
雑誌
嘉悦大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.57-71, 2012-10-26

礼儀は、辞儀、書儀、行儀からなる。本稿は、辞儀を取り上げ、礼の身体技法について文献を紹介し、四種類のお辞儀を提言する。2010年、大学にキャリア教育の導入が義務づけられ、「学校教育と職業生活との接続」が期待されている。社会人として必須の礼儀や作法を身につけた学生を育成することは社会の要請であり、学生個人はもとより大学の品位を保つうえからも必須である。キャリア教育は、社会的・職業的自己実現を目指すうえで必要な知識や技術、価値観、態度、望ましい人格などを育成することを目的とした教育プログラムである。振舞いのしかたである作法や行動教育を含むといえようが、こうしたプログラムは、伝統的な大学では正規の教育課程の枠外におかれていた。しかし、近年、学生の学力低下や態度能力、コミュニケーション能力の低下が指摘されるようになり、講義やクラブ活動などが円滑に運営できなくなったとの声も多く聞かれるようになるなか、礼の身体技法を身につける意味が注目される。礼儀や作法は、円滑な人間関係を構築するうえで無視できないというだけでなく、人間形成に不可欠なものである。TPOや時処位にかなったお辞儀を身につけた学生は、魅力行動となる態度能力が向上し、何より礼儀正しく振舞うことでよい評価を得ることができる。それは、行動の教養を身につけたことになり、自信につながる。
著者
古閑 博美 コガ ヒロミ Hiromi KOGA
雑誌
嘉悦大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.63-73, 2005-10-31

学生の授業中の私語、着帽、睡眠、携帯電話の操作、飲食、化粧、教科書・ノート・筆記具の不携帯のほか、トイレや電話のための途中退室などが問題となっている。そういった態度に接し、教師はどのように対すればよいのであろうか。教育現場で、このことに悩む教師の姿がある。社会で礼儀・作法は不可欠であり、教育現場で、無作法な態度や傍若無人な振舞いが看過されてよいわけはないのである。大学は躾教育まで担っていない、との考えは排除したいものとなる。知識の教養と行動の教養を身につけた学生を育成するのは、社会のニーズでもある。教師は、教育現場にふさわしい辞儀と魅力行動を実践したい。授業中、飲食、私語、着帽などの学生がいても、注意もせず放置する教師を、心ある学生は評価していない。学生が、知的教養以外にマナーなど行動の教養を身につけることは、彼らの将来にとって重要というだけでなく、わが国の将来と直結する課題となる。魅力行動学という研究分野を、あえて唱える所以である。