著者
Wadati Kiyoo Hirono Takuzo Yumura Tetsuo
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
Papers in Meteorology and Geophysics (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.49-78, 1969
被引用文献数
51

i)S波吸収の強さの地域的分布を深発地震のloog(<I>A/TB</I>)-△ 曲線によって調査し,日本の地下における地震波の吸収係数を求めた。それらは平均値として,西日本に対しては 4.6×10<SUP>-3</SUP>/km,東日本では10<SUP>-4</SUP>/km程度である。<BR>ii)震源分布から地震活動帯(<I>SA-zone</I>)の構造を明らかにした。<I>SA-zone</I>は浅発地震活動帯(<I>SSA-zone</I>)と深発地震活動帯(DSA-zone)とに大別され,その分岐線が,ほぼ盛岡一白河線(<I>MS</I>線)および別府一鹿児島線(<I>BK</I>線)に沿っていることを明らかにした。これらの線は活火山帯と位置的に密接な関係がある。<BR>iii)地震波吸収の強さは一般に<I>SA-zone</I>において小さく,その他の地域で大きい。特に,<I>SSA-</I>,<I>DSA-zone</I>にはさまれた地域(<I>SD-Gap</I>)においては分岐線に近い部分ほど大きく,それより遠ざかるにしたがって小さくなる。<BR>これらの事実と異常震域との関連について述べた。
著者
Hirono Takuzo Sato Kaoru
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
Papers in Meteorology and Geophysics (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.177-193, 1971

MSK震度階が我が国に適した震度階であるかどうかを試験するために,106の気象官署で, MSK震度とJMA震度の同時観測を1967年から1970年まで行った.このために作った調査表に地震時に観測した現象の項目をチェックして気象研究所に送り,著者等はそれによってMSK震度の決定を行った.地震を大地震と小地震に分けて,JMA震度と比較しながら統計を取った.その結果JMA震度は低震度に適し, MSK震度は高震度に適していることが分った.JMA震度3までの低震度をMSK震度になおす式は<I>M</I>=1.5<I>J</I>+1.5で,ここにMはMSK, JはJMA震度である.また大地震のときの両者の関係は<I>M</I>=1.5<I>J</I>+0.75と求められた.<BR>両者にはそれぞれ長所と短所があり,気象庁は両者を併用することが望ましい,すなわち,JMAは緊急報告用に,MSKは大地震の現地調査などに用いられる.