著者
Munetoyo Toda Hiroshi Nakada
出版者
FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
雑誌
Trends in Glycoscience and Glycotechnology (ISSN:09157352)
巻号頁・発行日
vol.22, no.127, pp.226-238, 2010 (Released:2010-12-07)
参考文献数
37

ムチンは O-グリカンに富む高分子の糖タンパク質である。上皮性癌細胞が産生するムチンは癌組織や血液中にみられ、臨床においては腫瘍マーカーとして利用されてきた。ムチンの血中濃度と癌患者の5年生存率は逆相関することから、ムチンは担癌宿主に何らかの影響を及ぼすものと考えられる。ムチン分子上には多様な糖鎖がみられることから、血流中に存在するムチンがこれらの糖鎖を介して血管内皮細胞や免疫細胞上に発現するレクチンと相互作用するであろうことは容易に想像できる。最近の研究により、ムチンが担癌宿主の免疫機能を抑制することが明らかとなってきた。ここでは、シグレック2/CD22 を介したムチンの B 細胞免疫抑制作用を中心に述べる。