著者
皆川 卓 Horst Carl
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

神聖ローマ帝国に属するドイツ・イタリアの諸領邦は、17世紀に多くの占領・進駐を経験し、平時の統治者である領邦君主はしばしば不在となった。軍と交渉当事者となったのは、なお自律性を保っていた官僚集団や貴族、都市、農村であり、主権のメルクマールの一つである外交権、すなわち他者の制約を受けない対外的交渉権は彼らにも開かれていた。そうした軍との交渉の機会が、その後の帝国における各領邦の外交権の成立にどのように影響したかを分析したのが本研究である。本研究の結果、邦属団体が占領軍と展開した交渉の形態によって、領邦の外交権のあり方が規定されたことが明らかになった。