著者
Ihara Yoshito Inai Yoko Ikezaki Midori
出版者
FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
雑誌
Trends in glycoscience and glycotechnology (ISSN:09157352)
巻号頁・発行日
vol.23, no.129, pp.1-13, 2011-05-31
参考文献数
71
被引用文献数
8

タンパク質<I>C</I>-マンノシル (<I>C</I>-Man) 化はα-マンノースがC-C結合を介してトリプトファン (Trp/W) 残基のC2原子に直接結合している特徴的な糖付加修飾である。<I>C</I>-Man化はある種のタンパク質のTrp-x-x-Trp (W-x-x-W) というコンセンサス配列のはじめのTrp残基で主に観察される。この修飾反応は酵素によって触媒されるが、これを担う<I>C</I>-マンノース転移酵素は同定されていない。現在までに知られている<I>C</I>-Man化タンパク質のほとんどがトロンボスポンジンタイプ1リピート(TSR)スーパーファミリーとサイトカインレセプターファミリーの2つのグループに分けられ、これらのタンパク質における<I>C</I>-Man化が機能的役割をもつことを示唆している。W-x-x-Wモチーフへの部位特異的突然変異導入により、ムチンやADAMTS-like1などの基質タンパク質のフォールディングと移送において<I>C</I>-Man化が重要な役割を果たすことが明らかにされている。さらにTSR由来の化学合成された<I>C</I>-Man化ペプチドを用いて、<I>C</I>-Man化ペプチドに結合するタンパク質としてHsc70が同定された。この相互作用はマクロファージ様細胞のHsc70によるTNF-α合成シグナルを増強した。これらの最近の報告は、特定のタンパク質上の<I>C</I>-Man化が細胞において大きな役割を持つことを示唆している。