著者
Julie Brock ジュリー ブロック
巻号頁・発行日
2005-03-31

京都工芸繊維大学 工芸学部研究報告 第53巻 人文(2004) pp.39-62ルソーの『新エロイーズ』についての紹介と考察。この小説はフランスにおける恋愛観の歴史を辿る上で見逃せないだけでなく、フランス人、ともすると全ての現代人の心の底流に潜んでいるであろう、「純粋な恋愛」や「情熱的感情」への思慕、或いは人間の中にある「自然的なものとしての道徳への」憧憬を呼び覚ますものが凝縮されている作品として、むしろ現代人にとっては新鮮に捉えることができることが可能かもしれない。本論ではまず、この作品の書かれた時代背景及び作者ルソーの生涯について概観し、次にその着想と構成について述べる。その後、物語のあらすじを紹介し、最後に『新エロイーズイーズ』成功の理由に迫る。
著者
Julie Brock ジュリー ブロック
巻号頁・発行日
2004-03-31

フランスの恋愛文学を紹介しながらフランス文化における恋愛観を考察する。第一章では『トリスタンとイゾルテ』を主な題材にして中世の宮廷風恋愛観と恋愛小説の誕生、第二章では、コルネイユの『ル・シッド』とラファイエット夫人の『クレーヴの奥方』を扱い古典的恋愛観、恋愛物語の衰退と再生について、第三章では18世紀前半のアベ・プレヴォーの『マノン・レスコー』を取り上げて、その小説に見られる恋愛観とロマンティスムの源泉を探る。京都工芸繊維大学 工芸学部研究報告 第52巻 人文(2003) pp.161-198
著者
Julie Brock ジュリー ブロック
巻号頁・発行日
2002-03-01

加藤周一を世に知らしめた1955年の論文『日本文化の雑種性』における、日本文化の雑種性、フランス文化の純粋性という二項対立を見直し、雑種性の概念の普遍性を主張した。まず、加藤周一の思想の根底にある比較文化研究者としての視点を解明するために、なぜ「雑種性」が加藤周一の業績の根幹であるかという理由を述べ、そこに展開される思想の概略をまとめた。その上で加藤と同じ方法論に立脚しながら「雑種性」の中核をなしている文化の雑種性という概念の普遍性を証明し、それが現代の若い世代にとってもなお、より豊かで創造的な社会の基本原理であることを指摘した。京都工芸繊維大学 工芸学部研究報告 第50巻 人文(2001) pp.167-175