著者
菅家 和雄 カンケ カズオ KANKE Kazuo
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究 (ISSN:13428403)
巻号頁・発行日
no.17, pp.63-77, 2008-09

近年多くの論文で相関係数が時変動しない仮定が棄却されている結果が示されている。このような中、従来より相関係数が時変動するモデルは数多く提案されているものの、強い制約条件が付加されている場合や推定しなければならないパラメーター数が多くなる等の問題点があった。Engle(2002)等はこのような問題点をある程度軽減したDynamicConditional Correlation (DCC)モデルを考案し、その後もDCC モデルを対象とした研究が徐々に増加している。一方でポートフォリオを考えた場合、市場を観察すると、しばしば個別要因リターンを打ち消す以上の大きな市場要因リターンが発生すると、非常に多くの資産が一斉に同方向へ変動し、個々の資産の変動の相関が高まる場面が見られる。そこで本稿ではDCC モデルに同方向へ変動する資産数を組み込み、東証業種別株価指数を用いて実証検証を行い、代表的なDCC モデルと比較したところ、対数尤度等において改善が見られた。