著者
岸谷 和広 KISHIYA Kazuhiro
出版者
関西大学商学会
巻号頁・発行日
2011-12-25

本稿では,リテラシー概念をインターネット媒体へ適用することを目的とする。近年,インターネット利用に関する研究が進展すると同時に,インターネット利用自体もユーザーの経験が積み重なるにつれて利用の仕方に多様性を孕むようになった。その結果,当初考えられていた利用像とは異なりつつある。それゆえ,当初想定されていた利用像に従って今までの研究が進められているために,インターネット利用が日常化する現在において利用のあり方それ自体をあらためて検討する必要があると言えよう。同時に,スマートフォン等の新たな端末の登場は,パソコンや携帯電話など端末の相違を解消させるため,端末それ自体に依存しない,もしくは横断する理論的な概念,そしてその展開が必要とされていると言えよう。 まず始めに,メディア利用研究を理解することで,ネット・リテラシー概念の必要性を確認する。その次に,リテラシー概念を理解することで,ネット・リテラシー概念への応用を検討し,ネット・コミュニケーション・リテラシー,ネット・操作リテラシー,ネット情報に対する懐疑的な態度の3つの必要性を論じる。その後,実証研究に向けて展望を論じることにする。