著者
Karki Tika
出版者
農林省食品総合研究所
雑誌
食品総合研究所研究報告 (ISSN:03019780)
巻号頁・発行日
no.43, pp.p40-53, 1983-10

無塩・低塩化漬物の製造工程を改良するために漬物中の微生物相を調べた。ネパールの無塩のグンドラックと日本の無塩のスンキや塩漬け野菜の漬物の微生物を比較し,それらの漬物中の乳酸菌を分離同定した。1) グラム陰性の低温細菌は,原料の芥子菜には検出されたが,発酵した乾燥グンドラックには検出されなかった。その他のスンキ漬けや塩漬けの広島菜漬,高菜漬,野沢菜漬からは,少数が検出された。2) 漬物に含まれる乳酸菌の大多数は,Streptococcus,Leuconstoc,Pediococcus,Lactobacillusに属する菌であった。3) カリフラワーグランドラックからS. faecium,Leuconostoc mesenteroides,L. paramesenteroides,とLactobacillus plantarumを,乾燥芥子菜のグンドラックからS. cremoris,P. pentosaceus,P. urinae-equiをそれぞれ分離同定した。4) 新鮮なスンキ漬からL. paramesenteroidesとP. pentosaceusと一般の乳酸菌とGC含量の異なる新しい属の乳酸菌を,乾燥グッドラックからSporolactobacillus inulinus (variable)をそれぞれ分離同定した。5) 新しいタイプの広島菜漬や野沢菜漬からP. pentosaceusとL. cremoris (variable)を分離同定した。6) 塩漬の中のグラム陰性菌と大腸菌は,食塩,乳酸発酵とBrassia野菜中に含まれるアリルイソチオシァネートの共同作用で生育が阻害された。