著者
早川 文代 長縄 省吾 干野 隆芳 風見 由香利 神山 かおる
出版者
農林省食品総合研究所
雑誌
食品総合研究所研究報告 (ISSN:03019780)
巻号頁・発行日
no.75, pp.45-54, 2011-03
被引用文献数
1

ジャムのテクスチャー用語リストを作成することを目的として,エキスパートパネル,プロフェッショナルパネル,一般分析型パネルの3パネル,合計34人に対して,質問紙調査を行った. コレスポンデンス分析の結果から妥当度を算出し,日本語テクスチャー用語445語から,124語をジャムのテクスチャー用語として選定することができた. また,ジャムのテクスチャー用語としての判定には,パネリストの専門性の高さが影響することが示された.
著者
Karki Tika
出版者
農林省食品総合研究所
雑誌
食品総合研究所研究報告 (ISSN:03019780)
巻号頁・発行日
no.43, pp.p40-53, 1983-10

無塩・低塩化漬物の製造工程を改良するために漬物中の微生物相を調べた。ネパールの無塩のグンドラックと日本の無塩のスンキや塩漬け野菜の漬物の微生物を比較し,それらの漬物中の乳酸菌を分離同定した。1) グラム陰性の低温細菌は,原料の芥子菜には検出されたが,発酵した乾燥グンドラックには検出されなかった。その他のスンキ漬けや塩漬けの広島菜漬,高菜漬,野沢菜漬からは,少数が検出された。2) 漬物に含まれる乳酸菌の大多数は,Streptococcus,Leuconstoc,Pediococcus,Lactobacillusに属する菌であった。3) カリフラワーグランドラックからS. faecium,Leuconostoc mesenteroides,L. paramesenteroides,とLactobacillus plantarumを,乾燥芥子菜のグンドラックからS. cremoris,P. pentosaceus,P. urinae-equiをそれぞれ分離同定した。4) 新鮮なスンキ漬からL. paramesenteroidesとP. pentosaceusと一般の乳酸菌とGC含量の異なる新しい属の乳酸菌を,乾燥グッドラックからSporolactobacillus inulinus (variable)をそれぞれ分離同定した。5) 新しいタイプの広島菜漬や野沢菜漬からP. pentosaceusとL. cremoris (variable)を分離同定した。6) 塩漬の中のグラム陰性菌と大腸菌は,食塩,乳酸発酵とBrassia野菜中に含まれるアリルイソチオシァネートの共同作用で生育が阻害された。
著者
安井 健
出版者
農林省食品総合研究所
雑誌
食品総合研究所研究報告 (ISSN:03019780)
巻号頁・発行日
no.47, pp.p11-15, 1985-11

サトウモロコシ(品種名; Sumac)を栽植密度および施肥量をかえて栽培し,可溶性固形物および可溶性糖類含量に与える栽培条件の影響を検討した。栽植密度の影響は可溶性固形物,スクロースおよび可溶性糖類含量に現れ,これらの含量は密植区(33340本/10a)の方が,標準区(16670本/10a)に比べ,多かった。施肥量の影響はフルクトースおよび単糖類含量に現れ,これらの含量は少肥区(N,10kg/10a)が,標準区(N,20kg/10a)および多肥区(N,30kg/10a)よりも,多い傾向があった。
著者
今村 太郎 西 明紀 高橋 敬一 宮ノ下 明大 宮ノ下 明大
出版者
農林省食品総合研究所
雑誌
食品総合研究所研究報告 (ISSN:03019780)
巻号頁・発行日
no.70, pp.19-22, 2006-03

コメグラサシガメ(半翅目: サシガメ科)の25、27.5、30、32.5、35℃における生活史パラメーターを算出した。カメムシはヒラタコクヌストモドキの幼虫を餌として育てられた。温度が25℃から35℃に上昇するとともに、内的自然増加率(r m)は0.0081から0.0275へと増加した。35℃が今回の試験に用いた温度範囲では最も個体群増殖に適していることが分かった。
著者
門間 美千子 矢ヶ崎 和弘
出版者
農林省食品総合研究所
雑誌
食品総合研究所研究報告 (ISSN:03019780)
巻号頁・発行日
no.70, pp.13-17, 2006-03

豆腐ゲルの形成においてタンパク質ジスルフィド結合の解裂再会合は重要な役割を果たしている。これまでに蛍光色素標識法を用い、11Sグロブリンのジスルフィド結合とグルコノデルタラクトン凝固充填豆腐の破断応力との相関関係を示した。本研究では、凝固剤として塩化マグネシウムとにがりを使用し、11Sグロブリン変異大豆系統を用いて、ジスルフィド結合蛍光色素標識による豆腐物性予測の可能性を検討した。実験に用いた8系統の大豆のうち6系統で、にがりでの凝固性が高い傾向が認められた。塩化マグネシウム凝固豆腐ではジスルフィド蛍光標識強度と豆腐の破断応力に有意な相関はなかったが、にがり凝固豆腐では11Sグロブリン酸性および塩基性ポリペプチドの蛍光標識強度と豆腐破断応力の間に、相関係数0.83および0.86(P
著者
増田 亮一 早川 昭 河野 澄夫 岩元 睦夫
出版者
農林省食品総合研究所
雑誌
食品総合研究所研究報告 (ISSN:03019780)
巻号頁・発行日
no.52, pp.p36-46, 1988-03
被引用文献数
2

温州ミカンは選果工程中に落下衝撃,輸送中に振動衝撃が加わることがある。これらの物理的損傷が温州ミカン果肉の有機酸代謝に及ぼす影響について検討した。カルボン酸分析計により有機酸含量を求め,また,この値を主成分分析法で解析し,次の結果を得た。1. 落下衝撃によってクエン酸,リンゴ酸とも対照区に比べ含量の減少割合が大きくなるが,落下回数に比例した減少はみられない。一方,振動衝撃の影響は,クエン酸,リンゴ酸とも一定の傾向はみられず,保存7日後より3日後の変化の大きい場合があった。2. 少量の有機酸のうち,α-ケトグルタル酸,ピログルタミン酸,コハク酸,ギ酸に落下処理による含量の増加がみられた。振動処理ではピログルタミン酸,ギ酸で含量の増加が認められ,1.5Gでコハク酸,イソクエン酸がかなり増加した。他の有機酸はこれらの処理では明確な傾向は示さなかった。3. 落下処理を加えると,α-ケトグルタル酸,ピログルタミン酸含量の増加に加え,遊離アミノ酸含量の増加がみられた。このことから,衝撃によってTCAサイクルの代謝に変化が起き,通常の呼吸によるクエン酸の消耗とは異なった経路が働き出した可能性も考えられた。4. 11種の有機酸の分析値を主成分分析したところ,第3主成分までで68%の情報を集約できた。第1主成分は,有機酸総量を表す。第2主成分は,少量の有機酸含量の変化を,第3主成分は,コハク酸,ギ酸,α-ケトグルタル酸含量の変化を表している。5. 第1主成分と第3主成分による散布図上,収穫直後のミカン果実の落下処理7日後は,同3日後,対照区および振動処理区と区別できた。6. 温州ミカン果肉の有機酸含量に及ぼす影響は振動処理よりも,落下処理の方が大きく保存に伴いより増大した。
著者
安藤 聡 島 純
出版者
農林省食品総合研究所
雑誌
食品総合研究所研究報告 (ISSN:03019780)
巻号頁・発行日
no.73, pp.31-38, 2009-03

遺伝子組換えによる酸性トレハラーゼ遺伝子(ATH1)の破壊は、冷凍生地製パン法において重要であるパン酵母の冷凍耐性を向上させる。我々は以前に、ATH1破壊が模擬的自然環境中におけるパン酵母の生存やDNA残存性を促進しないことを報告した。本研究では、遺伝子組換え酵母のモデルとしてATH1破壊株を使用し、模擬的自然環境への遺伝子組換え酵母の接種が環境中の微生物集団に与える影響について検討した。微生物集団構成については、rDNAの変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)を用いて評価した。遺伝子組換え酵母を接種した模擬環境試料中の微生物生菌数およびDGGEバンドパターンの推移は、野生型酵母を接種した試料中のそれと同等であったことから、各株が微生物集団に与える影響には顕著な差異はないものと示唆された。
著者
楠本 憲一 木村 多江 鈴木 聡
出版者
農林省食品総合研究所
雑誌
食品総合研究所研究報告 (ISSN:03019780)
巻号頁・発行日
no.68, pp.43-47, 2004-03

Aspergillus oryzaeのテロメア配列のうち,繰り返し単位(5'-TTAGGGTCAACA)2回ずつを逆方向繰り返し配列として付加し,Aspergillus nidulansの自己複製配列AMA1を連結した環状プラスミドおよび繰り返し単位2回を両端に有し,内部にAMA1を連結した線状プラスミドを作成した。これらのプラスミドをA. oryzaeに導入した結果,環状プラスミドとして導入すると環状のまま保持され,線状プラスミドの場合は自己閉環した。このことから,テロメア2回繰り返し配列は末端として認識されず,A. oryzaeのテロメア配列を利用して線状ベクターを作成するためにはさらに多くの繰り返し単位が必要と考えられた。
著者
真鍋 勝 後藤 哲久 田中 健治 松浦 慎治
出版者
農林省食品総合研究所
雑誌
食品総合研究所研究報告 (ISSN:03019780)
巻号頁・発行日
no.38, pp.p115-120, 1981-03

わが国で発見されたKAは,マイコトキシンという言葉が使われだした10数年前からこの範ちゅうに入っているが,実験動物に対する毒性が弱く,これによる事故が報告されていないことから余り問題にされていなかった。近年突然変異原性を有することがAmes testで明らかにされたことより,現在わが国の発酵工業で使用されている麹菌の中よりAsp. oryzae(149株),実験室保存のAsp. flavus(46株),Asp. tamarii(9株)について,KAとAFの産生能を検討した。1. Rec-assay法を使用してKA,AFを含む13種のマイコトキシンのDNA作用を検討し,KAとAF-B1を含む7種が陽性であることを明らかにした。2. 供試菌204株についてAF産生能を試験した結果,Asp. oryzaeとAsp. tamariiの全供試菌株には産生が認められず,Asp. flavus46株中24に産生が認められた。3. KA産生能試験は,坂口培地を使用し,30℃,14日間培養し,培養液を硫酸第二鉄で呈色し比色定量した。Asp. flavusとAsp. tamariiの全供試菌は,KAを産生し,最高産量は40mg/ml培養液以上であった。Asp. oryzae149菌株中105株にKAの産生が認められ,残りの44株(約30%)に産生が認められなかった。
著者
大和田 隆夫 飯野 久栄 石間 紀男
出版者
農林省食品総合研究所
雑誌
食品総合研究所研究報告 (ISSN:03019780)
巻号頁・発行日
no.40, pp.p64-70, 1982-03

西瓜とメロンの糖および酸含量を測定し,同時に官能検査を行ない次のような結果を得た。1. 西瓜の酸は極めて少ないので,食味への寄与度は無視しうるとみなされ,従って糖によってのみ食味的品質が影響される。Bxより0.5を差し引くことによって,糖度の高い全糖の推定値が得られ,Bxが総合品質の指標となりうるとみなされた。総合的品質として合格するのはBx9.0以上のときであった。2. メロンは西瓜と同様に,酸が極めて少ないので,食味への与寄度は無視しうる。従って,全糖即ち,Bxによって食味的品質の指標となりうる。Bxより全糖を推定するための差し引き値は品種によって異なる。その差引値はプリンスメロンの場合,2.5,ルナ,アスコットメロンの場合は1.0であった。総合的品質として合格するのはBx10以上のときであった。
著者
杉本 敏男
出版者
農林省食品総合研究所
雑誌
食品総合研究所研究報告 (ISSN:03019780)
巻号頁・発行日
no.50, pp.p9-17, 1987-03

1983年5月に収穫した小型タマネギ(ペコロス,品種 貝塚早生)を7月と9月にガンマー線照射(10,30,70Gy)した。照射ペコロスを5℃に貯蔵し,貯蔵中における萌芽率の増加,呼吸速度の変化,重量の減少,物理的性質の変化などについて調べた。各照射区ともに,9月から12月にかけて萌芽が始まり,12月には約半数のペコロスが萌芽した。12月以降には,照射区では萌芽数の増加が止まったが,非照射区では引き続き萌芽し,1984年3月にはほぼ全部が萌芽した。12月の時点では芽の長さは照射線量の増加とともに短くなり,照射により芽の成長が抑制されることがわかった。貯蔵中,萌芽数の増加に伴って呼吸速度は増加し,重量は減少したが,その程度は照射により抑制された。ペコロスの商品性を左右する硬度,破壊荷重は外観上,萌芽の見られない9月にすでに低下していることが明らかになった。