著者
三品 桂子 Keiko MISHINA 花園大学社会福祉学部 THE FACULTY OF SOCIAL WELFARE HANAZONO UNIVERSITY
出版者
花園大学社会福祉学部
雑誌
花園大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:09192042)
巻号頁・発行日
no.19, pp.15-36, 2011-03
被引用文献数
1

本稿の目的は、日本の包括型地域生活支援プログラム(Assertive Community Treatment: ACT)チームのスタッフが用いるスキルを明らかにすることである。調査対象機関はDACTSの値が比較的高い日本の3つのACTチームである。調査期間は2007年8月~2008年12月であり、記録、スタッフへの半構造化面接、フォーカスグループ、ミーティングや訪問場面の参与観察、出版物などをデータとした。分析協力者とともにこれらのデータをM-GTAで分析し、カテテゴリー6、サブカテゴリー16、概念45、具体的スキル 268を生成した。日本のACTチームにおいては、英国や米国と比較すると心理療法やリハビリテーションに関するスキルを用いることが少なく、チームリーダーのリーダーシップのスキルが見えにくいという特徴が認められた。また、未治療・治療中断者の割合が高いために、利用者との関係づくりのスキルや、家族が利用者の介護を担わされてきたという日本の状況から家族支援のスキルが多く認められた。さらに、環境を整え、薬物を可能な限り少なくして、人間のもつレジリアンスの増強に努めるスキルを駆使している点は、英国のスキルと似通っていることが明らかになった。