著者
Keiko Tadano-Aritomi Ineo Ishizuka
出版者
FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
雑誌
Trends in Glycoscience and Glycotechnology (ISSN:09157352)
巻号頁・発行日
vol.15, no.81, pp.15-27, 2003-01-02 (Released:2010-01-05)
参考文献数
36
被引用文献数
5 5

硫酸化スフィンゴ糖脂質の代表であるガラクトシルスルファチド(SM4s)は神経系組織、特にミエリンの主要糖脂質であるが、次いで腎にも高濃度に発現されている。また、腎からはラクトシルスルファチド(SM3)を初めとする多種類のモノ硫酸化糖脂質やビス硫酸化糖脂質、さらに硫酸化ガングリオシドが見出され、尿細管におけるイオンバリアーとしての機能が示唆されている。一方、哺乳類の精巣には硫酸化グリセロ糖脂質であるセミノリピド(SM4g)が高濃度に存在することから、精子形成や受精における役割が議論されてきた。本稿ではこれら硫酸化糖脂質の分析法の進歩について述べるとともに、SM4sおよびSM4gの生合成に直接関与する酵素遺伝子のノックアウトマウスの解析結果を中心に解説し、硫酸化糖脂質の腎および精巣における機能について考察する。