著者
小野 順貴 Kien LE TRUNG 宮部 滋樹 牧野 昭二
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.336-347, 2014-04-01 (Released:2014-04-01)
参考文献数
69

マイクロホンアレー信号処理は,複数のマイクロホンで取得した多チャネル信号を処理し,単一マイクロホンでは困難な,音源定位,音源強調,音源分離などを,音源の空間情報を用いることによって行う枠組みである.マイクロホンアレー信号処理においては,チャネル間の微小な時間差が空間情報の大きな手がかりであり,各チャネルを正確に同期させるために,従来は多チャネルA-D 変換器を備えた装置が必要であった.これに対し,我々の身の回りにある,ラップトップPC,ボイスレコーダ,スマートフォンなどの,同期していない録音機器によりマイクロホンアレー信号処理が可能になれば,その利便性は大きく,適用範囲を格段に広げることができる.本稿では、非同期録音機器を用いたマイクロホンアレー信号処理の新しい展開について,関連研究を概観しつつ,筆者らの取組みを紹介する.