著者
高良 美樹 金城 亮 Takara Miki Kinjo Akira
出版者
琉球大学法文学部
雑誌
人間科学 (ISSN:13434896)
巻号頁・発行日
no.8, pp.39-57, 2001-09

本研究では、職業レディネスおよび進路選択に対する自己効力感を指標として、インターンシップ(職場実習)の前後における大学生の就業意識の変化に焦点をあてた検討をおこなった。沖縄県内の3大学に通う文系の3年次学生398名(男子217名、女子181名)を対象に調査を実施した。職業レディネス21項目および進路選択に対する自己効力感30項目の各合計得点を従属変数として、インターンシップのタイプ(実務型・専門教育型・実習なし)×調査時期(実習前・後)の2要因混合計画による分散分析をおこなった結果、両得点ともに有意な効果は認められなかった。一方、インターンシップ経験に対する全般的満足度が高い群では、低い群に比べて事後調査における両得点が有意に高くなっており、インターンシップ・プログラムへの関与や満足が、職業レディネスや進路選択に対する自己効力感に促進的な影響を与えていることが示唆された。
著者
高良 美樹 金城 亮 Takara Miki Kinjo Akira
出版者
琉球大学法文学部
雑誌
人間科学 : 琉球大学法文学部人間科学科紀要 (ISSN:13434896)
巻号頁・発行日
no.29, pp.89-115, 2013-03

本研究は,自己効力感とソーシャル・サポートが入院状況における治癒志向行動(患者・看護師評定)とストレス反応にどのような影響を及ぼすかについて入院患者を対象とした質問紙調査に基づき検討したものである.調査対象者は,入院患者137名(平均年齢56.30歳,男性64名・女性70名・不明3名)であった.本研究の仮説は,「自己効力感高群は,低群に比べて治癒志向行動が多く,ストレス反応が低いであろう」「ソーシャル・サポート高群は,低群に比べて治癒志向行動が多く,ストレス反応が低いであろう」であった.主要な結果は,以下の通りである.①自己効力感の下位尺度『健康統制感』の高い者は,低い者に比べて治癒志向行動(患者評定)がより多く, 『苛立ち』を感じる程度が低かった.また,自己効力感の他の下位尺度『対処行動の積極性』の高い者は,低い者に比べて治癒志向行動(患者評定)がより多かった.②ソーシャル・サポートの構成要素の『行動的サポート』をより多く受けている者は,そうでない者に比べて,『苛立ち』および『無力感』を感じる程度が低かった.全般的に仮説を支持する結果を得た.一方,看護師評定による治癒志向行動においては有意な効果が得られなかったこと,自己効力感は治癒志向行動(患者評定)の促進,ソーシャル・サポートはストレス反応の抑制に効果があることなど,仮説が支持された範囲は限定的なものであった.