- 著者
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Klaus B. Hendriks
河野 純一
- 出版者
- 社団法人 日本写真学会
- 雑誌
- 日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
- 巻号頁・発行日
- vol.52, no.2, pp.117-126, 1989-04-28 (Released:2011-08-11)
- 被引用文献数
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障害をうけたり, 変色してしまった, ネガやポジプリントなどの写真画像は, 種々の方法で修復することができる。これのら方法のうちで最も一般的なのは, ポジプリントのコピーあるいは透過材料のデュープを作ることである。コピーを取る前か後にレタッチすることも有効である。版画や絵画の保存の分野で開発された伝統的な手法も写真の修復に序々に応用されつつある。また, とくに写真画像に対して開発された数々の技術も知られている。こうした例としては, 割れたガラスプレートネガを修復したり, 画像を担持しているゼラチン層を劣化した支持体から新しい安定な支持体へ移すことが挙げられる。さらには, 黄変したり, 変色した白黒写真を化学薬品の溶液で処理することもできる。本論文ではここ2-3年の間にカナダ国立公文書館で実際に行なわれた, 変退色した写真プリントの復元に関する実験研究について述べることにする。画像形成している銀粒子の劣化機構についても調べた。修復の過程で, 写真を構成する各種素材に対する種々の化合物の効果を注意深く調べる実験について, 特に詳しく述べた。処理浴の最終段にセレン調色浴を施すことによって, 修復された写真プリントの保存安定性はさらに向上する。本論文で述べる方法は全ての印画紙プリントに適用できるという訳ではないので, その制約については良く理解しておいて頂きたい。