著者
Kobayashi J. Toyama Y.
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
Papers in Meteorology and Geophysics (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.1-22, 1960

高層大気の温度測定においては 日射誤差と遅れによる誤差が 系統的な誤差の主なものである 日本のラジオゾンデの日射誤差に対する補正は気圧400mb以下の高層資料に対しては既になされているが遅れに基く誤差は考量されていない<BR>この報告の目的は 日射誤差が 補正された改良型のバイメタル温度計が 気温の真値を得たい要求に充分答えうるものかどうかを明にすることである<BR>改良型温度計は 二つのバイメタル片からなり立って 一つには銀鍍金され 他は黒化されたものを用い これらを用いて日射に基く誤差を補正し 気温の真値を指示するように工夫されている<BR>通風筒で遮蔽されたラジオゾンデ用温度計の日射誤差及び遅れによる誤差を見積るために 一連の比較飛揚試験及び実験室におていて 多くの試験が行われた これらの結果によると 太陽高慶角30° において 理在使用されている補正表による日射誤差の差の補正量は少な目で 実際の日射誤差の半分程度しか補正されておらず又遅れの時定数は大凡100mbで14秒 200mbで40秒 50mbで120秒 20mbで280秒程度のものであることを示した<BR>1956年2月に行われた昼と夜の観測から観測された気温差が若干認められ測定器の測定誤差が±0.50℃であるとすると 気温の日変化の量は100mbで 0.15℃, 50mbで 0.3℃ の値を持つことが推定された<BR>この報告は1955年4月から1956年2月に互って実験された結果を集約したものである